アメリカの大学受験について簡単に紹介します。
アメリカの大学には公立と私立がありますが、いずれも受験方法は同じです。 公立は州立であり、国立大学は軍関連の大学などです。 また、コミュニティーカレッジという地域の大学は、各群などで運営しています。
全米には、4000もの大学あるとされていますが、一般的にそのうちの上位120校ほどが、進学校からの受験対象となります。
さらにボーディングスクールからは、それらの内、最難関(most
selective)といわれる約50-60大学がターゲットとなります。 コミュニティーカレッジは、地域に密着した学校です、仕事しながら学ぶところ、また、職業訓練といった要素が強く、一般的には、留学や進学先としては対象となりません。
アメリカのプライベートスクールやボーディングスクールに入ると良い大学に入りやすいか、というと、決してそうではありません。 すべては本人の成績・実績しだいです。 ただし、ボーディングスクールなど私立高校では、大学受験のためのサポートが充実しており、カレッジカウンセラーも受け持つ生徒の数が公立高校よりもかなりすくなく、きめ細かい対応をしてくれます。 また、カレッジカウンセラーといくつかの大学のアドミッション担当者ともつながりが深く、人材交流もあるため、生徒ごとに個別のフォローアップも期待できます。
日本からの受験も昨今はコモンアプリケーションとしてインターネットでできるので、業者に頼る必要もなくなってきています。 大半の大学受験は面接を要求しませんので(音楽大学などは、オーディションあり訪問する必要あり)、すべて日本で行うことも不可能ではありません。
<受験>
アメリカの大学には大学別の入学試験はありません。
大学入学を決定するのは、高校の成績、共通テスト(SAT,ACTなど)の成績、小論文、学業以外の活動、リーダーシップ経験、ボランティア経験、推薦状などです。
これらの内、以下の順序で重要といわれています。
- 高校の成績(GPA)
- 小論文
- 推薦状
- 共通テスト(SAT, ACTなど)
- 課外活動(リーダーシップ、ボランティア含め)
一般的に難関大学を受験する高校生たちは、高校の成績はTOPクラス、共通テストもかなり良い点を取得していることから、いわゆる共通テストなどの成績上の差はほとんどありません。 したがい、学業以外の部分、すなわち、小論文、推薦状、課外活動なども合格判定において大きな部分を占めるといわれています。
<高校の成績>
高校の成績(GPA)が悪いと共通テストがどんなに良くても良い大学には入れません。 これは、決定的な事実です。 したがい、毎日の勉強、毎日の宿題、授業での参加度合いが重要になります。 一夜漬けでは、大学に入れません。 仮に浪人しても高校の成績は修正することができませんので、高校の成績が悪いと決定的な打撃になります。 極端に言うと人生にとっての大きな分かれ道が高校の成績結果にあるといっても過言ではありません。 良い大学を目指したい場合は、絶対に高校の成績を良くしなければなりません。しかも高校1年(日本の中学3年)からの平均で評価されますので、初年度から良い成績を取らなければいけません。
アメリカの高校に通うインターナショナルの生徒でも残念ながら、英語の成績が悪いと全体の成績平均が悪くなるため不利になります。 TOEFLなどを提出して、補うことはできますが、それほど効果はありません。 一方、高校がアメリカ以外である場合は、TOEFLが考慮されます。
<小論文:エッセイ>
小論文は、アプリケーションでテーマが指定されています。 アプリケーションは多くの大学で、「コモンアプリケーション」を採用しています。 コモンアプリケーションとは共通の書式の願書のことで、参加している全部の大学がまったく同じ書式でインターネットを利用した願書を受け取るというものです。 期限は大学により若干違うこともありますが、ほとんど同じです。 受験生は、コモンアプリケーションを一度作り上げると後は、大学を選ぶだけで、同じものをたくさんの大学に簡単に出すことができます。 このため昨今大学受験者数が記録的に多くなり、どこの大学も表面的な倍率が大きくなっていますが、これは、一人8−10校と併願が多いためです。 コモンアプリケーションではいくつかのテーマから自分で好きなものを選ぶことができます。 また、それぞれのテーマそのものがかなり広い範囲をカバーしており、個人の考えを十分に反映できるように工夫されています。
小論文は大学受験でもっとも重要なもので、手抜きをすると受かりません。
自分自身を大学にわかってもらう書類として、また大学は、受験生のことをよく知る上で重要なものと位置つけています。 人の書いたものや文献をつかったりせず、自分自身の言葉で、自分の主張をしっかり、かつ自然に書くことが重要です。 夏休みごろから、3−4ヶ月かけて大学に提出する小論文を準備します。
コモンアプリケーションの他に各大学ごとに指定するサプリメントエッセーというものがあり、これも提出しなければなりません。 コモンアプリケーションと一緒にインターネットで提出することができます。
<推薦状:リコメンデーション>
推薦状は主に学校の先生2名からの推薦状が必要です。
アメリカの高校では、自分のことをよく知った先生に推薦状を依頼します。 これらは先生が勝手にかいてくれるものではなく、生徒が先生に個別に依頼しなければなりません。 中には、あなたのことは良く知らないから書けないと断る先生もいます。 推薦状にはその生徒のことを何年ぐらい知っているかということを書くところがあり、付き合いのあまり短い先生を選ぶと大学側も評価してくれないと言われています。 先生たちは正直に本当のことを書くように訓練されていますので、常に良い推薦書を書いてくれるとは限りません。
また、アメリカの高校は、その生徒が、なにかルール違反したかどうかも、正直に大学側に提出することになっていますので、見逃してくれるということは絶対にありません。 遅刻が多いと遅刻が多いと書かれますし、万が一カンニングしたり、人の宿題をコピーしたり、さらには、インターネットから文献を取ってきてそれをそのままコピーしたりすることなどがあれば、推薦状にも悪影響をあたえ、さらに、成績表にacademic
dishonestyとして記載されます。 日々の授業態度なども重要です。
日本からの受験の場合は、日本の先生に英語で書いてもらわなければなりません。
時間もかかりますので、早めの手配が必要です。 日本からの受験も米国内の受験も書式は同じで、違うのは、親の給与証明が必要と言う点です。 アメリカ国内の場合は、税金申告のコピーを提出します。 インターナショナル生徒の場合は、大学が提供する奨学金は期待できません。
<共通テスト>
SAT,ACTなどが共通テストです。
大学により合格者のそれぞれのテストの点数の範囲に幅があります。
当然に上位大学であるほど点数幅は高くなりますが、上位大学は、各幅は似たような範囲であり、共通テストだけを基準に合否が決まることはあまりありません。 どの程度の幅であるかは、College
Boardやその他情報サイトなどで各大学の合格者の点数幅を見ることができますが、以下のグラフ(Freshman入学者の平均50%のデータ)で参照できます。 ACTも同じく幅があります。 SATとACTは似て非なるテストで、得意不得意があります。 各大学ではどちらも同様に評価するとしています。 アメリカの大学は、学部毎に良し悪しがあるため、将来を見据えて十分に検討し大学選びする必要があります。
(Freshman入学者の中50%の点数幅)
(Freshman入学者の真ん中50%の点数幅)
+IVYリーグ *Liberal
Arts ~公立
その他データはこちらのリンク
このグラフからわかるように上位大学の共通テスト幅はかなり重なっており、平均的な学生の共通テスト結果による学力の差は、それほど大きくないことがわかります。 SATは同じ学生でも体調やちょっとした得意不得意問題にあたることで50点幅で動くとされています。(ACTは1点数程度)
SAT、ACTは夏を除いてほとんど毎月あります。 大学での評価度合いは低いといわれていても、やはり、点数が低いと合格しずらくなります。 高校生たちは、これらのテストの成績を良くしようと勉強します。
同じ大学受験でも帰国子女の大学受験にSATの点数を重視する日本の大学もあります。
<課外>
課外には、クラブやボランティア、その他夏のサマースクール、生徒会などさまざまなものがあります。 音楽などの芸術などから、スポーツや病院でのボランティアなど生徒によっていろいろな体験をし、大学にアピールすることるが大切です。
学生は、学業以外をアピールするために、RESUMEを大学に送付します。
RESUMEには、学業以外でがんばったこと、音楽、スポーツ、美術などで得た賞、夏に大学のサマースクールで得たクレジット、ボランティア活動とその時間、インターンシップ経験、働いた経験などを記載します。 RESUMEは出来るだけ1ページで完成させ、資料などは添付しません。
<TOEFL>
海外からの受験ならびに、自宅で英語を日常語として使っていない場合に、提出する必要があります。 点数的には大学によって下限を決めているところがあります。 良い点数に越したことはありませんが、SATの点数がそれなりに出ていればTOEFLを免除する大学もあり、補助的な役割と考えられています。
参考リンク:
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