ボーディングスクールはすばらしい。 集団生活を通してリーダーシップが育成され、人格形成にも役立ちます。 英語力も上がります。 しかし、悩みや問題点はないのでしょうか。 もちろあります。
日本人としての観点からは次の何点かが悩みではないかと思います。
<日本語>
アメリカのボーディングスクールに入ると中学3年(または高校1年)から高校3年までをアメリカで日本語の無い世界で生活することになります。 当然漢字のテストもなければ、日本の歴史の授業もありません(一部でHistory
of
Japanという授業があるものの) その期間、日本語の本も読まなければ、高校で習得する漢字も習得しないことになります。(ボーディングスクールでは宿題などがたくさんあり、日本語の本を読むほど暇ではない
かもしれないし) その間、日本的な感覚を養うことも出来ません。 日本的な礼儀も習得するともできません。 日本のすばらしさは、日本人が自然に覚える日本的な礼儀正しさ、習慣であると言っても言い過ぎではないでしょう。 たとえば、ホテルのチェックイン、飛行機のフライトアテンダント、レストランでの対応、などなど、さまざまな日常でも、アメリカにいる時と、日本に帰国した時の差というのをいやというほど体験している人たちは多くいると思います。 それら対応はもちろん企業がトレーニングするものですが、その背景には日本的な礼儀のトレーニングがありますが、それは日本で生活しているという基本的な文化からうまれてくるものです。 アメリカの企業には日本的なそれがありません。 そのようなことから親としては、ボーディングには行かせたいが、どうしたものか、悩むことになります。
すっきりと割り切ることが出来れば、それに越したことはありませんが、出来ればこれについては、いろんな方とディスカッションしたい内容です。
これを解決する方法は3のアイデアがあります。
- 日本語補習校が近くにあるボーディングスクールを選択する。
- 夏休みなどの長期の休みを利用して日本で教育する。
- 日本語の先生(日本語授業にに日本人の先生がいるところもある)にお願いして個人的に授業してもらう。
- 通信教育を受けさせる。
などです。
2.の日本での夏休み中の教育は欠かせないと思われますが、アメリカ高校生活の成功可否のキーポイントは夏休みの学習にあるので、どこまで日本語の教育に当てるかは、子供の成績成果次第ということになります。
また、6月初めから夏休みなので、夏休みが始まったらすぐに日本に帰国させ体験入学的に日本の学校に通学させることも可能です。
(一部のボーディングスクールでは日本の高校からの短期・夏季留学を受け入れているところもある。たとえば、同志社国際とアンドーバー、ローレンスビル、慶応藤沢高校とローレンスビルスクールなど)
3.は、日本語の先生にお願いします。
それなりの授業料を支払うことになります。 きわめて個人的な個人授業になります。 また、習得単位などはもらえません。
しかし、日本語の先生にお願いするためには、日本人の先生がいなければなりません。 日本語を授業として持っている学校にも限りがあり、さらに、日本人の先生がいて、しかも日本での教育経験がある、となるとかなり限定されます
。
1.の日本語補習に通わせるアイデアは、近くにそのような補習校が無いと困難です。
せめて車で30分以内で通学にバスが使えそうなところが欲しいところです。
日本語補習校の多くは日本の文部省の補助付で運営しており公認されています。 また、文部省の補助付の日本語補習校は、すくなくとも日本から校長先生なりが派遣されてきており、日本的な教育実施しているはずです。 補習校は一般的に土曜日か日曜日ですからボーディングスクールの授業と重ならず、また多少の余裕をもって参加させることも出来ますし、友達も出来ます。 宿題もでます(これもまた日本語学校の宿題する時間があるかどうかは別として、すくなくとも前日であっても気になってすこしはやって欲しいと期待するのが親ですが) 一番の問題は自主的にちゃんと
通えるかどうかです。)
これまでの調査ではもっとも近いのがジョージタウン・プレップ(男子校)です。 同校で毎週土曜日にワシントン日本語補習校の1校舎があります。
(全部で近隣に3スクールを使用している。どの校舎で高校が実施されているかは不明) ジョージタウンプレップは基本的には土曜日休みであり、かつELSがあります。
ニュージャージーにあるローレンスビルスクールとプリンストン日本語
補習校はバス1停留所の距離にあり、車で2−3分程度です。 十分に通える範囲にあります。 日曜日の午後に授業があります。 他にボストン日本語
補習校とフィリップスアンドーバーやミルトンアカデミーは車で約3
0分程度(15-20マイル)の距離です。 また、ハートフォード日本語補習校からチョートローズマリーまでも車で約30分ほどです。 できることならば日本語学校とそれぞれのボーディングスクールが連携して土日のどちらからに日本語学校に通わせるようなシステムを作ってもらいたいものです。
ボーディングスクールの多くは土曜日はすくなくとも午前中は授業があるところが多いのです。 一方、日本語補習校は土曜日授業が一般的です。 したがい、土曜日に授業の無いボーディングスクールと土曜日に授業のある日本語補習校、または、土曜日に授業のあるボーディングスクールの場合、日曜日に授業のある補習校
との組み合わせ選択する必要があります。
○土曜日に授業の無い学校例=>近い日本語学校
コンコルドアカデミー(30分)、ミルトンアカデミー(30分)=>ボストン日本語補習校
ジョージタウン・プレップ(男子高)=>ワシントン日本語学校(校内-15分)
○日曜日に授業のある日本語補習校=>近いボーディングスクール例
プリンストン日本語学校=>ローレンスビルスクール(3分)、ぺディー(30分)、ペニントン(10分)
( )は車での所要時間
他にもいろいろな組み合わせがあります。
上記で例とした学校と日本語学校の組み合わせと距離については、ここで地図がみれます。
いずれにしても、距離が近くても本人自ら通う強い意志がなければ意味がありません。
4.の通信教育も本人が自主的にやるかどか、がポイントですが、ボーディングに限らず日本語の勉強に通信教育を利用しているケースはかなりあるようです。 中学はアメリカにいても高校は日本でと考える場合も通信教育の利用は多いようです。
以上すべてをじょうずに組み合わせることもできるでしょう。
<大学>
進学は日本の大学かアメリカの大学か、それが問題です。
アメリカのボーディングスクールに行くのだからアメリカの大学に進学するのが一般的かもしれませんが、本人の将来の選択次第となルと思います。 日本で就職を考える時、アメリカの大学は認知度が低く、それで不利にならないかと心配にもなります。 アメリカの大学を卒業してもアメリカで就職するにはビザの問題などもあり、それも不利にならないかと心配です。
ボーディングスクールでよい成績を収めて、よい人格形成が仮に出来たとしても、それをどのように生かせばよいのでしょう。
アメリカのボーディングスクールへ通学すると日本の大学を受験する場合は帰国子女の枠が使えますので、多少有利な条件で大学入試に臨むことが出来ます。 英語力も当然日本で勉強した学生よりも良くできるようになっているはずです。 しかし、日本の大学は遊びに行くといわれるほど勉強をしないと言う面もあり(一部でしょうが、親の経験からしてもあまり勉強した記憶もなくお酒ばかり飲んでいたような気もします。。。)、できればアメリカの大学でしっかり勉強してもらいたいという気持ちもあり、大いに悩むところですが、本人次第とは言うものの、アメリカの大学の方が勉学に励むことはほぼ間違いないと思われます。
世界の大学のランキングを見るとアメリカのアイビーリーグの多くは日本の東大、京大をおさえて、それ以上の上位に位置しています。 これは入試の難しさ
だけではなく、大学の成果を順位ずけて利用したものです。 そのランキングでは日本では入学が難しいとされる慶応大学は200-300位台、早稲田大学はさらに低く300-400位台と残念ながら上位には顔を出しません。 欧米の大学は専門的学問を追及するところですが、日本の大学は就職予備校的なところがあり、その利用方法、評価方法が大きく違うといえます。
または入るのは難しいが大学では成果を上げていないともいえるのかもしれません。(それゆえ、各企業では新入社員教育に力を入れいているとも言えるのではないでしょうか) なお、それでも世界のTOP大学の
国別集計リ
ストでは、日本は堂々の第3位です。(1位アメリカ、2位イギリス、3位日本、4位ドイツ) (なおこれらデータは上海大学が作成したもので毎年話題になります。 作成基準は、同校のサイトに説明があります。)
アメリカの大学に入るためには、SATの成績がよくなければなりません。 また、日々の成績もよくなければなりませんので、結果的には取得できた成績次第で決めるということになるという事もあるようです。
基本的には本人の目指すところ、希望、将来の夢が決めるものだと思います。
<休み>
ボーディングスクールの困ったことの一つにクリスマスとサンクスギビングの休みがあります。この期間だけは、学校そのものが休みとなり、寮も閉鎖となります。 しかもこの期間は夏休みと違い1-2週間程度と短いので、海外から来ている学生は、その間どこに住むかが問題となります。 長い休みだと日本に帰国するなどアレンジできますが、短いとそれも悩みます。 休みの度に毎回帰国していては、年に4回帰国することになります。ボーディングスクールの中
には、ホストファミリーといって、近くに住んでいて通学している学生の中からそれら海外かれ来ている学生をその期間サポートしてくれる制度をもっているところがあります。 しかし
必ずあるとも限りません。 そのような時は帰国するしかありません。 たとえばフィリップスアンドーバーはホストファミリー制度があるがエグゼターではない、ローレンスビルではある、などまちまちです。(それぞれインタビュー時に質問して聞いた話であり未確認) 各ボーディングスクールでは、休みの初日に近隣の空港までバスを出しいっせいに学生を送り出すようになっています。 また、近くに電車が走っている時にはそこまでも送迎があります。
学校からは1年分のスケジュール表が年初に出ますので、それをベースにしっかりと休みにどうするかを計画しておく必要があります。
某ボーディングスクールのカタログから2005年9月ー2006年6月の学期と休みの概略は以下です。
第一学期 |
始まり |
10-Sep |
|
終わり |
19-Nov |
|
|
|
サンクスギビング休暇 |
|
NOV/20-NOV/25 (約1週間) |
|
|
|
第2学期 |
始まり |
29-Nov |
|
|
|
クリスマス休暇 |
|
DEC/16-JAN/2 (約2週間) |
|
|
|
第2学期 |
終わり |
1-Mar |
|
|
|
春休み |
|
MAR/2-MAR/20 (約3週間) |
|
|
|
第3学期 |
始まり |
21-Mar |
|
終わり |
31-May |
|
|
|
夏休み |
|
JUNE 1-SEPT/7(3か月と1週間) |
|
|
|
ただしその他は日曜以外休みはありません。 土曜日も午前中はクラスがあり学校もあります。
また、国・州の休日は関係なく授業があります。 ただし、学校が指定する授業なしの日が上記の休みの他に年間で7-8日あります。
|